2012年8月1日水曜日

概要

「念佛宗」の名前のとおり、基本は「南無阿彌陀佛」と阿弥陀佛の名前を唱える称名念仏によって、阿弥陀佛の主催する西方浄土に往生できる、という浄土教系の仏教です。従って、浄土三部経(無量寿経・観無量寿経・阿弥陀経)が根本経典になります。
もちろんこうした浄土三部経(そして龍樹や世親といった浄土教史上の高僧たちによる浄土教解釈)には「儀式」によって往生が決定するなどという教義は一切出てきませんが。

ただし、念佛宗ではどんな経典も利用するという方針ですので、中国で儒教の影響を受けて作られた(従って現在の仏教では参照されない)『父母恩重経』などの偽経も利用します。もっとも、そもそも浄土三部経を含む大乗経典自体が、歴史上の釈迦その人が説いた直説ではなく、あくまで後世に創作されたものだということも頭の片隅に入れておいてください。
もちろん大乗仏教諸宗はそれらの経典が仮に後世の創作だとしても歴史上の釈迦の説いたことの「真意」を明らかにするものなのだと主張しますが。



さて「オツムテンテン」の儀式で極楽往生できるという念佛宗の教義ですが、
この儀式が以下のような系統を辿って伝承されてきたのです:

善導大師 → 法然上人 → 親鸞聖人 → 蓮如 → 在家(隠し念仏) → 念佛宗

親鸞から蓮如の間は浄土真宗(本願寺派)の門主たちの系統(親鸞は宗祖・蓮如は本願寺第8世門主)ですので、親鸞・蓮如、その間にいる本願寺の歴代門主(覚如・存覚)などの書き残した文書が経典に準ずるものとして利用しています。歴史的に言って浄土真宗本願寺派は親鸞からの世襲的血統を重要視し、信徒の往生も門主次第とし(特に蓮如)、信徒に門主への服従と布施を要求する (特に覚如)、という、現在の目から見れば多分に問題の多いものでした。
従って、念佛宗では門主(つまり開祖や現在の代表者)への服従や布施を正当化するのに、覚如・存覚・蓮如の書き残したものを良く利用します。
歴史的にカルト的性格を帯びていた本願寺派の暗部が現代のカルト集団に利用されていると言えばわかりやすいでしょうか。

しかし、面白いことに蓮如自身(或いはそもそもの法然・親鸞も)が、儀式の類によって往生が定まるとする教義を邪義(秘事法門と呼ばれます)として排斥しています。また往生はただ阿弥陀佛の功徳のみによって定まるのであって我々の側の自力(特に布施などのいわゆる「善行」によって善果を積もうとすること)は極楽往生に影響を与え得ないという本願寺派の絶対他力思想(これは特に覚如・蓮如に顕著ですが)と、念佛宗の善行(特に布施)を推奨し、それを常に持続して死ぬまで
行わないと往生が叶わないという脅迫的・強迫的な教義は相容れません。
つまり、浄土教の高僧たち自身の教えによって異端とされている宗派なのです。(従ってそれが正しいことはあり得ません)。 

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